ナナカマドの実っている街路樹にはキレンジャクなどが良く来るのだが、とし前にツグミやヒヨドリが山ほどやってきてみんな食べてしまったので、それっきり野鳥は来なくなっていた。
それが、ここのところの温かさで雪が融けたものだから、落ちた実が雪の下から出てきていて、それを目当てにキレンジャクとアトリの群れが来ていた。

アトリは最近あちらこちらにいる。
路上に車を止めっぱなしにするのには少し車通りの多い道だったので、離れたところに車を置き、ナナカマドの木の近くに腰を下ろして、鳥が向こうからやって来るのを待った。
たまに通りかかる車は、歩道に座り込んでいる私をいぶかし気に見ていくが(こちらの気のせいかもしれないけれど)、気持ちを強く持ち随分長く鳥を待った。
始めは警戒して寄り付かかなかった鳥たちが、やっとのことで近くに舞い降りた時、たまたま車で通りかかった知り合いに見つかり声をかけられた。
「そんなところで何をしているのですか」
と声をかけてくれた素敵な笑顔の女性は、「これ、あげる。」と温かい缶コーヒーをくれたけれど、近くに来ていた鳥たちは遠くに飛んで行ってしまった。
それでも、コーヒーと笑顔が嬉しくて、上機嫌で再び鳥が戻ってくるのを待っていたら、長いレンズではピントが合わなくなりそうなくらい近くにキレンジャクが舞い降りた。私を気にせず、ナナカマドの実を拾っては口に入れいている。

ナナカマドを食べる!
喜んでシャッターを押している私の横を、スピードを落としながら車が通り過ぎた。キレンジャクは近くの木に一時避難したが、すぐ横の木なのでまた下りてくるに違いない。
と、今しがた通り過ぎた車がUターンをして戻ってきた。
「久しぶりですねえ。」
と笑いながら車を降りて来た知り合いは、歩道でローアングルで写真を撮っていた私を見て「歩道で人が倒れている。助けねば」と、びっくりして戻ってきたという。
あんまり長くいると、不審者扱いされかねないと、家に帰ることにした。
畑にはヒシクイやハクチョウが畑に来ていた。これは昨年より少し遅い。

ヒシクイが来ていた
ところでその夜、かわいい女の人と街で飲んだ。
仕事がらみで最近知り合った人で付き合いは短いのだが、感性の良い面白い人で、すぐに好きになった。
その彼女が、春からインドのムンバイ(っていうんだねえ。今は)で働くことが決まったということで、出発前に一度飲もうということになったのだ。
旧サイトには書いたことがあるが、ムンバイ(そのころはボンベイといったが)で20年以上前、蛇使いと喧嘩をしたことがある。
たった、4,50円払うか払わないかで喧嘩になり、コブラで脅されたのだ。
そんな思い出話をしていたら、忘れていた当時の旅行のことがたくさん思い出された。
私は私の旅の体験を話し、彼女は彼女の旅の体験を話した。
途中から飲み屋の社長も混ざって3人になった。社長は「インドは汚くて危険だ。」としきりに言っていた。
楽しい酒だったな。
インドでの仕事が終わっても、十勝には返って来ないということのようだが、まあきっと会いに来てくれるでしょう。たくさんの思い出話を持って。
いってらっしゃい。