道東湿原河川の虹

少し遠くまで車を走らせた。誰もいないところで釣りがしたかったのだ。

この時期魚が次々と出るということはないにせよ、何匹かの魚には会えるだろう。それで十分だと思った。いい川で釣りをしたい。ここ1ヶ月ほど忙しすぎた。

前日の土曜日は家や物置を片づけた後、ウエーダーの穴を補修したりルアーのフックを付け替えたりと準備をした。車を車中泊仕様にして釣り道具と着替えを積んだら14時を過ぎた。そろそろ出発しようと思った時に、部活から娘が帰ってきた。ずいぶんくたびれて腹が減っているようだったので飯を作ってやり、それから家を出た。

途中釧路の釣具屋に寄った。昔からよく行く釣具屋だが今も行くとコーヒーを飲ませてくれるサービスは変わらない。スタンプカードが中途半端にたくさんあったのをまとめてもらったら4000円分になった。聞いたことがあったり釣れそうだなと思うルアーをいくつか買った。こういう時間も釣りの楽しみだ。安物ウェーダーがさらに安くなっていたので思わず買ってしまった。8000円だった。安物とはいえダイワのウェーダーがこの値段はお買い得だ。

途中でレストランに寄って生姜焼きを食べ、釣り場に最も近い町の公共施設のようなところの駐車場でビールを1缶だけ飲んで寝た。

私は生姜焼きが大好き。なんてレストランだったかなあ。

ライトがまぶしかったが22時ごろ消えた

朝、寒さで目が覚めた。気温は氷点下だった。
釣り場に向かう途中に夕日のような朝日が昇った。朝日の登る原野に鹿が走れば絵になるなあと思ったが現れなかった。

しばらく後、鹿の群れに出会ったが、その時には太陽は少し高くなってしまっていた。

車から川まではしばらく歩かねばならないが、人が全く入っていないというわけでもなさそうだった。足跡を少し見たし、ルアーもひとつ拾った。でもここで人に会ったことはない。障害物やカーブの多さなど渓相は本当に素晴らしい。釣れる魚の種類も豊富で、北海道の渓で釣れる魚は大体いる。

入渓してすぐに20cmに満たない子どものアメマスが釣れた。良い状況を期待したが、そのあと数時間でそのくらいのアメマスを2尾追加しただけで、序盤は厳しい釣りであった。

このくらいのサイズのアメマスは何匹も釣れた

途中この日一番だろうというポイントで重めのスプーンを深場に流し込み、ゆっくりと巻いてくると魚がじゃれつくような感触がした。さらにもう数十センチ引いてくると今度はもう少し明確なあたりがあったので、合わせを入れると40cmぐらいの銀色の魚体が翻って深みに潜るのが見えた。この状況の中で、それなりのサイズを逃したのは悔しかった。スプーンを見るとフックが折れている。老朽化していて合わせと同時に折れたのか。それとも直前にどこかに引っ掛けて折れたのに気がつかず釣り続けていたのか。前者なら針が口にかかっているだろうから時間を空けても食わないだろうが、後者なら帰りにもう一度狙えばまた出てくるかもしれない。

9時を過ぎると気温がどんどん上がった。するとこれまでの反応が嘘のようにあちこちから魚が出始めた。ニジマスとアメマスを何本か追加したあと、ここには居そうだとしつこくミノーを送り込んでいた倒木下から大物が飛び出した。障害物に潜られないように予め強めにドラグを締めていたのがよかった。無事に緩い流れに誘導しネットに入った魚は45cmのニジマスだった。頰と体側の赤いこの川らしい魚だった。

山女魚は禁漁だが、1尾だけ釣れてしまった。

帰り道。行きにバラしたポイントにそーっと近づき、朝はスプーンだったので今度はミノーを送り込む。1投目何もなし。2投目何もなし。3投目リトリーブ途中で巻くのを止めてしばらくその場に止めておくと、ガツンと魚がヒットした。「おい、マジか」と少し慌てたが無事取り込んだ魚は43cmのニジマスだった。

夕暮れまで釣ろうと思っていたのだが、十分に満足していたので行者にんにくを採って車に戻った。

いい釣りだった。

家に帰ってすぐに醤油漬けにした。