鶏を捌いた

「鶏さばくの興味ありませんか?」と、しばらく連絡のなかった友人からメールが届いた。

こういう怪しげなメールが届くということは、私自身がそうとうに怪しい人間と思われているということなのだろう。

間髪入れず

「かなり強い興味があります」

と返信した。

私は昔から自分で食べるものは自分で調理できないといけないのではないかと思っている。

野菜でも魚でも肉でも、生きている状態から、料理までということだ。

料理も洗濯も衣服のほつれを縫うことや道具の修理も全部できないと1人前じゃないと思う。

もっと言うと、生きていくためのあらゆる道具も衣服も作れて、家を建てることができて、動物に乗って移動できたら、最高だ。

ん?それって原始人か?

前置きが長くなったが、4つ足はなかなかハードルが高そうなので、まずはニワトリさん。

これは、願ってもないチャンスだ。

昼過ぎに友人の知り合いの農家へ着き、早速作業に入った。

ニワトリの足を縛って逆さに吊るし、頸動脈を切って血を抜く。

頭を落として、熱湯にくぐらせ毛をむしる。

内臓を取って、関節に包丁を入れてばらして、

部位ごとに捌いていく。

そんな手順だった。

吊るす

血を抜く

内臓を抜く

部位ごとに切り分ける

手羽先、モモ、胸、ささみなど、売っているものと同じにばらせる。 当たり前だけど、

初めてだったから手際はあまりよくなかったけれど、

魚を捌くのとそう大きく違うとは思わなかった。

可愛そうとか、何かの抵抗感が湧くかと思ったのだけど、そういう感情もなかった。

小学生の時、釣ってきた魚を初めて捌いた時、

私はかわいそうでかわいそうで

「もう釣りはやめる」

と思ったのだけど、そんなウブでキュートでデリケートな私は、もう私の中にはいないらしい。

モモ肉の端を少し削いで焼いてみたけど、歯が通らないくらい固かった。

だから、よーく煮込んでカレーにして食べた。

それから、残った首やらガラの部分は冷凍しておいて、後日、出汁を取って美味しくいただいた。