股間に悲劇が襲った

釣り場につくとキツネの子が出迎えてくれた。

夏に宗谷のイトウが大量に死んだという報道があった。

渇水と高水温によるものだそうだ。

これは行って実情を見てこなければならない。

1日目 10月29日(金)

暗いうちに家を出て、昼に現地に着く。途中一度は竿を振ってみたい大河を眺めながら北上したが、ひどく濁っていて釣りになりそうもないので諦め、支流に入った。

良い魚を掛けたことのある(釣り上げたではない)ポイントを2か所まわるが、この日はあたりが全くなかった。強風と低温の中、日没まで粘るも何もなしで終わってしまった。

2日目 10月30日(土)

初日とは別河川2本を攻めた。朝の気温は-3度。寒い。

日の出から出撃した有名河川は、釣り人にも数名あったが、誰もヒットせず。

春には魚影の確認もできたが、この日は岸際を泳ぐイトウも見られなかったし、モジリやライズもなかった。

9時前には諦め、ポイントを変えて森に入った。林道にはクマの糞があった。でも気にしない。

川は、風がなく、釣りやすかった。強風の時には森に入るに限る。

釣りやすく気持ちの良い釣りだったが、肝心の魚が出ない。

やっと魚が釣れたのは、釣り始めて6時間後、40cmほどの子イトウだった。

昼過ぎにこのポイントで、60cmくらいの魚をバラシた。

40cmぐらいか

先ほどよりは少しだけ大きかった。

この日、もう一本、さっきよりも少し大きいイトウを釣り上げたころ、日は山に隠れ、川岸はだんだんと薄暗くなってきた。

決まった所からしか脱渓はできないので、先を急ぐ。

と、少し先の崖の上の笹藪がガサガサと揺れ、崖からたくさんの土砂がザザーっと川に落ちた。なにか大きな動物がいるのだ。

おそらくエゾシカだが、入渓点付近に羆の糞があったのが、少し気になる。

脱渓点に着き、林道を目指して歩く。背の高い笹やイタドリで視界は殆どないし、あたりは随分と暗くなってきてなおさら、歩きづらい。

ハンディーのGPSだけを頼りに、なんとか林道に出た時は、すっかりとあたりは暗くなってしまっていた。

真っ暗い林道の中、鹿の声やら何かの動物の声が響いている。

ほんの少し残った空の明るさも、消えたころ、やっと車についた。

ぼろぼろに疲れ、冷え切った体を近くの温泉で温めたあと、ビールを飲み、車で眠った。

車に着くころには、アタリは真っ暗闇。近くには羆の糞。

3日目 31日(日)

この日は、前日の川の別区間を攻めた。

昼過ぎまで釣り、ウグイとアメマスとイトウを釣った。

どれも小さいサイズだった。

冷たい川に漬かって釣りをしていたら、またについているゴールデンボールが異様に冷たくなった。車にもどってウェーダーを脱いだら、内またも真っ赤になっていた。凍傷にでもなってぽろっと玉なり棒なりがとれちゃっても困るので、車のヒーターを最大にして股間に当てつつ帰路についた。

しかし、股間は一向にあたたまらず、時間がたつにつれキン○マはどんどん冷たくなっていく。

こりゃ、真剣にタマナシ人生について考えなきゃならないと将来の展望を模索しつつエアコンのダイヤルを見ると、ダイヤルが最低温度に設定してあった。そりゃ冷えるはずだ。

さて、目的であった道北の調査結果は、「チビイトウのみ若干数生息」ということになる。それが本当か来年も調べに行かねば。