羆とイトウ釣り

金曜日に職場からそのまま道北へ走った。
釣り場まで50kmというところで眠くなったので車中泊。

翌朝は3:30に起き釣り場を目指す。
林道わきに車を止め、入渓地点まで歩く間に熊の糞を3回見つけた。新しい糞だった。

気温水温ともに盛夏に比べれば低かったので高活性を期待したが、朝一番の40㎝台後半の魚が釣れた後は、アタリすらなくなってしまった。

釣りの途中、羆に会った。
釣りあがっていく先の川岸にその熊はいた。かなり大きな熊だった。こちらの存在には気づいていない様子であった。

思えばここへ向かう泥岸でも何か所かで熊の足跡を見ていた。しかしこの川では熊の足跡や糞はいつものことだ。それらの痕跡を見たからと言って、そこで釣りをするのを止めるなどということはまずない。

しばらくその大きな熊を眺め、そしてその後、声を出してこちらの存在を知らせた。熊は大きな音を立てて川に飛び込み、対岸に渡って森の奥に消えていった。
後から考えると、熊撃退用のスプレーは腰に下げていたが、それを手に取ることもしなかった。それほどに緊張感がなかったのか、それともスプレーの存在を忘れるほど舞い上がっていたのか。

入渓地点が近ければ引き返したのかもしれないが、すぐには道路に出ることもできないほど森の奥に来てしまっていたので釣りを続けた。

その後も熊の足跡は何か所かで見た。脱渓までに追加した魚は、30cmほどの子イトウと婚姻色の出始めたサクラマス1尾だけだった。

足跡はいたるところにあった。

熊の多い場所での釣りについては賛否あると思う。
ましてGPSなしでは入ることもできない森の中だ。襲われてけがをしても助けは来ないだろうし、行方不明で捜索願が出ても発見は困難であろう。命があったとしても重症ならば人の通る可能性がある林道まで戻ることすらできるかどうか。

慣れは恐ろしい。

熊に出会ってもさほど恐怖を感じないということは冷静に対応できるという面で良い点だ。殆どの熊は人を恐れ、人を襲ったりはしない。しかし、冷静さと侮りは別物だ。

言うまでもないことだが熊はキツネや鹿ではなく熊なのだ。確率は少ないと言えども人を襲うことが0パーセントということはないのだ。熊の多い場所で遊んでいる以上、準備と警戒を怠ってはならないと思う。

前夜から別河川に近いところに場所を移した。深夜2:30車の屋根をたたく雨の音で目が覚めた。夜中も降ったり止んだりだったので、濁ってダメだろうと思ったが、一応釣り場近くの橋の上から川を見てみると奇跡的に濁りは少なかった。雨足は強くなっているので、濁りが出るまでは数時間勝負だろう。

釣り始めて1時間ほどで50cmの魚が釣れた。

雨は激しさを増し、川は釣りができないほどに濁ってしまった。

濁りがきつくなり、水中の障害物も深さもさっぱりわからなくなった。「もう上がりだな。」そんなことを思った時、次の魚が釣れた。56cmのイトウだった。蛍光黄色のフローティングミノーを酷い濁りの中良く見つけてくれた。

それで、釣りをやめた。まだ7時過ぎであった。

それから7時間ほどかけて家に帰った。帰り着いたのは午後の早い時間だった。

今回の遠征も小さい型ばかりだったが、この魚は嬉しかった。

帰り道、レーダーの速度表示を見るとエライことになっていた(^^;


  • 話は変わるが、この日は深夜にワールドカップサッカーの決勝戦があった。1か月楽しくTV観戦してきた最終日だ。日本代表も予選でコロンビアを破ったり、決勝トーナメントで3位に入ったベルギーを追い詰めたりと大活躍だった。

決勝のフランス対クロアチアの一戦は、4対2でフランスの2回目の優勝に終わった。予選から素晴らしいサッカーで注目されたクロアチアだったが、優勝には届かなかった。ボール保持率はクロアチアの方が断然勝っていたが、要所を守り、要所で決めきるフランスに結局力が及ばなかったように見えた。

ワールドカップも終わり、これで慢性的な寝不足も解消できそうだ(^^)