みっしーさんから船釣りの誘いがあった。
この友人を含め何人かの古い友人は最近船の釣りが多くなり、誘われることが増えた。
だんだん我々も年老いてきて、長く歩いたり、過酷な環境で釣りをするのがしんどくなってきたせいだと思う。
そして、金に物を言わせて、魚のたくさんいるところに運んでもらい、
「さあ、この下に魚はいるぞ、たくさんいるぞ、さあ釣れ、今釣れ!」
という船長の指示にしたがう安楽方向の釣りに進んでいっているのである。
私としては、そういう道に自らが進んでいくことに、多少の抵抗感もありつつ、しかし、
「この間は夢のように釣れましたよ。でかいアオゾイも入れ食いで、水深も浅かったし、超楽しかったです。それに食ったら本当に美味しくて・・・」
などという、甘い誘いにあらがうことは難しく、
「ほ、ほんとうかい?いくいく。」
などと、簡単にポリシーを転換してしっぽを激しく振ってしまうのである。

沖に出るとアホウドリにも会える。
さて、夢の釣りだと聞いた知床の海だが、そこそこウネリがあり、みっしーさんは早々に船酔いで辛そうな状況になってしまった。
朝のうちはブリを狙っていたが、アタリもないので、少し沖に出て五目釣りに切り替えた。
この日はたまたま我々二人の貸し切りだったので、わりと自由にやりたいことをやらせてくれたのだ。
しかし、かかってくるのは殆どタラで、手巻きのスピニングで100mの水深から何度も何度も重たいタラを巻き上げるのは、ほとんど修行という状況だった。
海底は、びっしりとタラがいるようで、ジグが着底すると、すぐにヒットする。
このタラの巻き上げ地獄には閉口した。

アブラコとホッケもいくらか釣れた。
釣りから帰って、数日は腕と背中の筋肉痛に悩まされた。
タラはフライに、アブラコはソテー、ホッケは干した。
しかし、まだ大量に冷凍庫にある魚は、どうやって食べよう。
タラはなんかあまりおもしろいファイトをするわけでないし、めちゃくちゃ重いし、あんまり魅力的じゃないなあ。と、そんなことを思った。