スーパーブルーブラッドムーン

1月31日に月食があった。「スーパーブルーブラッドムーン」と呼ばれる35年ぶりの貴重な月食だという。

月が地球に近づいてでっかく見える「スーパームーン」と、1カ月に2回満月になる「ブルームーン」。それから皆既月食で赤っぽくなる「ブラッドムーン」の三つの現象が合わさったものだそうだ。

でも正直どうしても見たいなあという気持ちはなかったし期待もしなかった。たいそうな名前を付けて盛り上がるけれど別にどうってことないってことは良くあることだ。横文字を並べてありがたがる風潮がこの国にはある。

それでも一応見に行って、一応きれいだなあと思って、一応写真に撮った。

結論としてはいつもの月食と同じだった。

皆既食が始まり空が暗くなって一面の星空にでもなれば感激なのだが、私の住むあたりでは町の灯りが強すぎてたいして星の数も増えなかった。

皆既食の時間がいつもよりずっと長いのが違うところだが、そのおかげで家に戻ってきたのが遅くなり、次の日眠くてしかたがなかった。まあそんな風にネガティブなことばかり書いているけれど、奇麗で不思議な自然現象なことは確かだし、私自身も楽しく夜空を見上げていたのだ。

翌朝、眠い目をこすりつつ家を出ると、昨夜のスーパーブルームーンはまだ空に残っていた。

大きな月が西に沈み、東から太陽が昇り始めた。

夜の主役から朝の主役への交代劇。いつもより派手な太陽の登場が、「俺にも注目しろ」という強い自己主張のように思えておかしかった。

朝陽に金色に輝く雪原の中、キツネがこっちを見ていた   。

おや、君も撮って欲しいのかい。とカメラを向けた。