初秋の湖へ

秋分の日の前日、友人のNさんからどっかに浮かびに行こうと誘いがあった。

リクエストしたのは、初めて行く湖。とても楽しみ。

Nさんと行く釣りは、たいていのんびり出発する。

この日も随分太陽が高くなってから、うちに迎えに来てくれ、釣り場についたのは昼少し前だった。

準備をして、流れ込む川に沿って湖を目指すと、川にたくさん魚がいるのが見える。

20cmくらいの魚の群れに、時折30cmを超える魚も混ざる。どれもニジマスだ。

フローターを浮かべて、湖に出る。

空は晴天。山も雲も湖面も美しい。

最高の天気の中、漕ぎ出した。

こういうチビが多かった。

フライを流すと、すぐに小さいニジマスが釣れた。

その後も、20~30cmほどのニジマスは割とたくさん釣れたが、30cm以上のニジマスは、あまり釣れなかった。

たまに大きいかなと思っても、35cmどまりだろうか。

日が傾いて来た頃、ついに大きい魚が掛かった。

最初はそこまで大きいとは思わなかったが、なかなか上がってこなかったので、期待と共に緊張が高まった。

だんだんと浮き上がり、見えた魚体は50cmは超えているように見えた。

浅いところに切り株が沈んでいるのが見えたので、魚をそこから少し離し、安全なところでファイトしようとフローターの位置を整える。

何度か、寄っては走られを繰り返した後、魚は今までより強く、走った。

その時突然、引き出されたフライラインがガチンとロックして止まってしまい、ティペットがブチっと切れてしまった。

スプールに巻きこんでいたフライラインが途中で絡まっていて、それが引き出されガイドに引っかかってしまったのだ。

この日、唯一の大物だったので、とてもがっかりした。あまったラインをリールに巻くときにいい加減に巻いた結果なので、避けられた失敗だったのであろう。

後でNさんに聞くと、初心者がよくやるミスだそうだ。

遠くの雨雲が近づいて来ているので、天候が悪くなりそうだとは思ったが、その後もしばらく粘った。

しかし、その後釣れてくる魚は小さいものばかりで、大物がもう一度ヒットすることはなかった。

雲はすぐに頭上を多い、雨が降り出した。

それでもしばらく釣りを続けたが、徐々に風雨が強くなったので、釣りを止めることにした。雨は雷雨に変わり、激しい雨と風と雷の中、フローターを岸に上げて担いで車まで帰った。雷は徐々に近くなり、激しい稲光と共に近くに落ちる。これは、熊よりも恐怖だった。

しかし、今日の釣りをトータルで考えれば、小さいサイズが多かったものの、他の釣り人に一人も出会わなかったし、一日のほとんどが最高の天気だったし、でかいのもいることはいるとわかったので、上出来だ。

いい釣り場だと思った。

また行こう。